手のひらに乗るような1個の機械部品、一抱えほどの医療機器、あるいは見上げるようなサイズの精密機械や工作機械――。 日々「輸送」のフローにのる物品には、驚くほど多彩なバリエーションがあります。梱包の材質や形状も、包むモノにあわせてつど検討しなければなりません。
これらを定めるのが「包装設計」の役割。そこには、熟練のノウハウや知識はもちろん、ときにはアッと驚くようなアイデアが凝らされています。
梱包の材料となるのは主に紙、段ボール、木材、鉄の4種類。そこに緩衝材などを組み合わせて設計します。材料ごとに強度やクッション性、密封性などに違いがあるため、中身の性質に合わせて慎重に選ぶことが大切です。もちろん、環境対応で重要なポイントとなる重量も、材料の組み合わせと設計で大きく変わります。主な梱包の種類とメリット
部分的な保護の場合、荷役に必要な場合などに適用される仕様で、国内輸送によく用いられます。材料費が少なく安価に梱包でき、総重量を軽くしたい場合にも有効です。
製品重量や形状に応じて、Z1402・Z1403などの規格に合わせてオーダーメイドでつくられる木箱です。軽くしたい場合は段ボールと組み合わせることも可能です。
鋼材は木材に比べて16倍の強度のため、頑丈な梱包になります。重量物に適しています。
中身にあわせて加工しやすいのが強み。もちろん、汎用品も利用されます。スチールや木材ほどの強度はないため、軽量の物品に向きます。
段ボールでは強度が足りない、木材では重すぎる……というときに用いられます。段ボールと同様に形状の自由度が高く、フォークリフトなどで運ぶのにも適します。
梱包は一朝一夕にできるものではありません。お客様の要望を伺ったうえで、設計、試作、評価を繰り返すことになります。サンリツが段ボールを設計する場合を例にとると、多くは以下の流れで包装設計を行います。近年では包装する製品のCADデータをいただき、それをもとに包装設計することもあります。
(1)仕様打ち合わせ包むモノの形状、特性、どのような場所に保管されるかなどをできるだけ詳しく伺います。サンリツでは輸送フローをあわせてご提案することもあるため、これに必要な条件もヒアリングします。
(2)試作・設計ヒアリング内容をもとに、包装専士・包装管理士・梱包管理士などの資格を持った包装設計の技師が、CADを用いて設計。サンプルを試作し、性能を評価して、不足があれば修正します。サンリツ社内には落下試験などを行える設備があるため、この評価だけを依頼されることもあります。
(3)見積・図面、仕様書作成設計が決まったら図面に起こし、そちらをもとに見積や仕様書を作成します。
(4)包装資材・デリバリーお客様のところに包装材をお持ちし、設計の良否を確認するため実際に包装します。包装設計に問題がなければ、量産品でお届けします。
包装設計を依頼されるモノの中には、形状が一定しないものもあります。パソコン用のモニタもその一つ。画面の傾きぐあいを変えられる商品が多いため、製造中にこの向きが変わってしまうと、梱包にあわせて整える手間が生じます。
そこでサンリツがご提案したのが、「モニタが箱の中で少し浮く」という構造の通い箱。底面に対して垂直に置かなくてもよいので、画面が傾いても問題なく収納でき、フタを閉じれば自動的に固定されます。
ベース部分を浮かす構造で、どんな角度でも簡単に収納。
モニタ部分はフタを閉めると固定できる。
輸出用の梱包は長い距離を運ばれるため、高い強度が求められます。包むモノが大型の重量物であればなおのこと。許容されるコストや重量には限界があるため、ただ分厚く、頑丈につくるわけにもいきません。
サンリツが過去に設計した大型プリンターユニットの輸出用梱包は、中身の重さが150キロ、加えてJIS規格レベルⅠの落下試験・振動試験・圧縮試験をクリアすることが条件となっていました。かなりの強度が必要でしたが、設計を最適化することはもちろん、梱包材の加工・貼り合わせにはサンリツ社内の設備を利用するフローをご提案し、コストを最低限に抑えることができました。
重量物+輸出向け
=強度が重要
段ボールと発泡材の最適配分で強度を確保。
サンリツの設備・拠点を活用し、加工コストも最低限に。
輸送現場の効率化に欠かせないのが「パレット」。おぼんのように荷物を載せて運ぶことができる台ですが、載せるモノの量や形状によっては重心が不安定になり、破損につながることもあります。
この事例では、お客様はそれまでパレット上に複数の機械部品を載せ、フィルムを巻いて固定して運んでいました。そのため、手間がかかる、開封時にフィルムがゴミになる、パレットを重ねて一気に運ぶことができないといった課題を抱えていました。
そこでサンリツは、部品の種類ごとに専用の通い箱をご提案。内部の形状を工夫して部品を入れるだけで固定されるようにし、また箱自体を積み上げられる形状にして、運ぶ回数も少なく済むようにしました。
部品ごとに、ぴったり固定できる専用箱を作成
通い箱自体を段積みできる寸法で設計
before
after
私たちサンリツは梱包と輸送の“プロ”として、
お客様のさまざまなお悩みにお応えしています。
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